ついに中嶋君がぎゃーぎゃー言ってた
nine inch nailsのアルバム
「WITH TEETH」が発売されて(発売から5日もたってるが)ハードリピートしてるわけですがいかがお過ごしでしょう。
感想はというと…うーん、当然最高に決まってるじゃないか。でもこれじゃあ話にもならんわけで。
まず音楽的アプローチの面で言うと最初音の減り様からデビューアルバム「Pretty Hate Machine」やEP「Broken」を思い出したのだけど(もちろん音の磨き方からなにからグレードは断然こっちの方が上なのは言うまではない)、中嶋君的にふと思い当たったことはjoy divisionの音楽的進化を引き継ぐ継承者となることを意識的に選んだんじゃないかということ。
joy divisionとは
UKロック史上最も残酷で憂鬱な詩人、イアン・カーティス。ロンドンで巻き起こった"パンク"の影を背負いながらニュー・ウェーヴへの道を切り拓き、マンチェスターという土地に奇跡の火を灯したジョイ・ディヴィジョンが、その後のシーンに多大な影響を及ぼしたのは周知の事実だ。それはもちろん、パンクの方法論とダンス・ミュージックの融合や、マイナー・コードがひた走るアブストラクトなスタイルの確立といったサウンド面でもいえることである。--しかし、それ以上にイアン・カーティスという存在が投げかけた衝撃は、音楽という「創造」をも揺さぶる強烈なものだったのではないか。純粋なまでに吐露される絶望と混乱の歌詞、そして、地の底を這いつくばるかのような重々しいヴォイス……。ジョイ・ディヴィジョンから感じられるどうしようもない不安感は、イアンの情動そのものなのだ。彼の自殺による事後風評が、そういった印象を生み出しているのではない。何故なら作品に息づいているのはすべて“生きている時間"における空想と破滅の物語なのだから--。イアンの死後、残りのメンバーはニュー・オーダーを結成している。
もちろん順等に考えれば継承者はnew orderということになるんだけども、単純にトレント・レズナーとイアン・カーティスの性質の類似点は結果的に継承者としての資格を得るに値すると考えられると思う訳です。
new orderは当然joy divisionがなければ存在してないしjoy divisionの音楽を引き継いでる面は相当あるわけだけど、もしイアン・カーティスが生きていたらnew orderの進み方じゃなくて、インダストリアルメタル的な手法を取ってみたり、回り巡って音を逆に減らして生に近いアプローチにも戻したりして、あれれ?nine inch nailsと同じ様な足跡たどってるじゃないかってなってたんじゃなかろうか(そうなるとnine inch nailsは違うことしてるだろうけど)。もちろん想像だけども。
まあそんなわけでトレントはわざと前作「FRAGILE」の圧倒的な音数でいながら繊細に積み重なったアプローチを捨て、joy divisionのような、音は少ないがとてもセンスのいいものにしたのじゃないかと。ゴシックな雰囲気も完全に捨てきれてないけど似たような服でメンバーの格好を統一したりするとことかニューウェーブの人たち意識してるとしか思えないし、ジャケットとかもなんつーかね。
まあ全部妄想の確率大ですがwでも淡々と進むドラムだとかギターのアプローチだとかは本当に似てるんだよなあ。傑作である破滅的な前々作「Downward Spiral」にボーナストラックで収録されたjoy divisionのカヴァー曲「Dead Souls」は、また別の意味合いで入れられたと思うのだけど、実はこれも伏線だったのかもよ?とかねw
トレント・レズナーの徹底した「僕と君」の世界(決して「僕とみんな」じゃない)。
過度に感情移入してしまう僕のようなやつにとって今回のアルバムは感動だとか感激だとかではすまされないほどの衝撃です、
1stの「Pretty Hate Machine」やEP「Broken」ですでに壊れた世界を描き、続く「Downward Spiral」で壊れるまでの過程を圧倒的な破壊力ある音で表現し、「FRAGILE」で再生する世界をとてつもない数の音を繊細に重なり合わすことで見せてきたわけだけども、ついに今回のアルバムで再生後の1歩を踏み出したのかと思うと、何も言えないわけですよ。前作の「FRAGILE」では、あれだけ音数があったのに、こう、なんつーか何万ピースのパズルを組み立てて見る人を圧倒しておきながら作った本人はそれでも「まだ足りない、まだ足りない」という様な印象で、本当に切なかったのだけれど今回は「埋め合わせするにはまだまだ足りない、でも僕は進むことを選んだ」という明確な意思表示に感じられて幸せにしてくれるのです。音を減らし、より明確になった力強いドラムとうまくはないくせに表現力だけは抜群なトレントの歌声にやられまくり。
ああ、今にうまれてよかったなあと思える作品です。
聞いたことない人に言うと近年のインダストリアルメタルやヘヴィロックとジャンル分けされる攻撃的なフォーマットだったのは「Downward Spiral」で沸点を迎え、「FRAGILE」ではその手の音は影を潜めており(「FRAGILE」はどちらかというとエレクトロニカだとおもう)、今回に至ってはトレントのギターテクがあがったためかどちらかというとエレクトロニカ+ロックというようなオルタナティブによくあるアプローチに近いものになってます(当然凡百のバンドから比べればまったく異質ではあるのだけれど)。要するにその手のが苦手な人でも今回のは聞けるだろうからぜひ聞いてほしいわけです、いや、きかなくちゃ損なんだよー。とりあえずごちゃごちゃ言ったけど本当に言いたいことは
中嶋君といっしょに喜びを分かち合おうぜぇ!!